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2005.02.25

ふぐ

FUGU肝つきの刺身づくし
中洲の「ふぐ一期一会」で会食。
これほど沢山のふぐ尽くしは初めてだ。残念ながら、この晩帰京しなければならなかったので「ふぐ雑炊」までは現地にいられなかた。
この数時間あと、あの事件が起ころうとは・・・・

雑炊に後ろ髪を引かれる思いで、中洲から車に乗って、空港へ急いだ。この晩、羽田への最終便はガラガラだった。ひれ酒は極端な熱燗を注ぐためアルコール度数が低く呑みの割には酔わないらしいが、連日出張の疲れか、機内では気持ちよく爆睡していた。
羽田到着は荒天のせいもあり、11:30を回っていた。この後到着する便はもう少ない筈であるが、この日は他の便もダイヤが乱れていたようで、空港は各地からの最終便到着客で比較的込み気味だった。

もはや高速バスも無いので仕方なくモノレール駅へ向かう。終電一本前に乗り込み、これまたガラガラの車内で発車を待つ。ガラガラだった筈の車内は次第に込み始め、発車時には通勤時の浜松町なみになっていた。いつものように浜松町に向かって静かに走り始めた。外は冷たい雨が降っている。車内は人いきれと過剰暖房で熱気が篭っていた。

体調に変化を兆したのは平和島辺りだったか。それまでは普段と何も変わらなかったが、腹部の膨満感と吐き気が襲ってきた。気を紛らわしながら終点到着を待ったが、かえって気にし過ぎたのが災いしたか、冷や汗も出はじめ、頭はボーっとしてくる。注意深い周りの乗客は異変に気付き始めている。きっと顔色は真っ青状態(の筈)。吐き袋など持っているわけもなく、万が一のために乗客のいない空間を探すが、立ち客も多く、そもそもそんなスペースも無さそうだ。取り敢えず汗を拭うために出したハンカチを準備するのが精一杯。吐き気を我慢するのは比較的強い方なので、実際に吐き出したのはもう何十年も前のこと。他人に迷惑を掛けない非常時の吐き方すら良くわからない・・・。かなり、ヤバイ。

(ここから先は、食事中はご遠慮ください)
快速運転でなければ、途中下車は簡単だったが、次の停車駅、天王洲アイルまで持つか。体の生体反応はご主人様の都合より優先するらしく、やがてやってきた。
「げほっ」音が漏れないように、実が出ないようにしっかりハンカチで口と鼻を押さえるが、下を向いたままこれは無理で、やっぱり気道確保姿勢になり、周りの乗客も尋常でないことに(たぶん)気付き始める。
「この(禿げ)親父ィ~、こんな(混んだ)ところで吐くきかぁ。勘弁しろよまったくぅ~」が聞こえてきそうで、居場所がないが、逃げ場もない。

運良く、一発目は実は伴わずに済んだ。やがて二発目が「げぼっっ」・・・今度は逆流の兆しはあったが、またしてセーフ。冷や汗は最高潮に達し、襟元はびっしょり。ここで天の助けか次停車の案内が流れる。やった!減速を待たずして、混んだ車内を大きな荷物を持って出口付近に強引に移動しドアが開くのを待つ。幸いにして発作の谷間だったので三発目は免れたが、非常に危険だったのには違いない。

冷気が通り抜けるホームは、さっきまでの車内に比べたら天国のような気分で「生きた心地」がした。次に来るであろう最終便を待っても、もう乗り込む自信は無く、ゆっくりと改札に向かって歩き始めた外は、雨からみぞれに変わり始めていた。かなりの冷気に落ち着きを取り戻し、ホームの一番端のエレベータで改札階に上がった。改札を抜け誰もいないベンチで休む。時間の経過とともに発作の周期は減り、また実が伴わないことも学習した。たぶん胃の中は空っぽなのだろう。

暫くして最終の登りモノレールが階下のホームを通過する気配がした。いよいよ帰る手段が限られてきたが、終電の京浜東北線で途中下車なしで一時間は自信がないので、一方的に贔屓にしている個人タクシーに電話を入れる。彼は出勤準備中だったが、仲間の車を直ぐに廻してくれた。いつしか雪は本降りになっていた。首都高を飛ばしていたが高島平から先の通行止めによる渋滞をナビで察知し、空かさず一般道に下り先を急いでくれる。この辺りまで来ると積雪は数センチになっていたが、高級車個人タクシーは当然のようにスタッドレス装備なのでものともせずに走り続けてくれる。残り数キロで最後の発作が来そうだったので、運転手さんに訳を話し、路肩に一時停車してもらうことにした。ここでも事なきを得て自宅に届けてもらう。初めて13、700円が高く感じなかった。

自宅に着いても吐き気は止まらず、今度は腹痛と下痢にも襲われた。結局朝まで1-2時間置きに脱水症状にならないように「アクエリアス」を飲みながら布団とトイレを往復することとなった。明け方になって腸内洗浄が終わり眠りに付いたが、今度は寝不足による頭痛に見舞われた。

事の顛末の原因は今も不明である。ふぐにあたったのでないことは他のメンバーの元気具合からしても明らか。そもそもふぐにあったったらこんなことでは済まないが少しトラウマになりそうな、たいへんな出来事だった。
SHIRAKOYAKI白子焼き


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Comments

当人にとっては尋常じゃな世界を垣間見たでありましょうが、読ませていただき、非常に感激しました。
その「ゲボゲボ感」のリアリズム!!!

続き(完結編)もどうぞ

大変でしたね。
amatさんの話を読んで、大学時代の食品衛生学の授業の中で印象的だった「黄色ブドウ球菌による食中毒」を思い出しました。

・食後3時間ぐらいで症状が現れる(他の食中毒はもっと長い)。
・嘔吐が特徴的。細菌が出した毒素(エンテロトキシン)が嘔吐中枢に働きかける。吐くものがなくても吐き続ける。

原因食物はもうわかりません。どこにでもいる菌だし、それが食品中(調理中)に付いて繁殖したらどんな食べ物でも原因に…。

完結編、拝見しました。
ともあれ、ご無事でなによりです。
フグって、怖いのね、、、。

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