カチャ
椚平(くぬぎだいら)
男は読めなかった。土曜の練習で初めて訪れた山間の(たぶん)過疎村である。
都幾川村の西平という地区から西へ沢を入っていった所だが、日向根(ひなたね、と読むのだろうか?)を周回して戻る、チーム連としては新しいコースである。ここの道はすべて奥武蔵グリーンラインの飯盛山を目前に行き止まりのようだが、遠路遥々参加の友人のナンパにも成功したので、充実のコースであって欲しい。
足のあるメンバーは正左回り、不安なメンバーは比較的平地な筈の逆回りで合流するという計画だった。この日の不安組は男と女の二人だけ。
平地の筈であったが斜度は徐々に上がり、遂には15%前後の激坂が....
初めは遅れ気味の女であったが、この女の強さは半端で無いことは知っている。間もなく見送り、徐々に離れ始めたその時「カチャ」林の中に機械的な音が響き渡った。
女はその無機質の音があまりに辺りの自然に調和しないのを直感的に感じ、肩越しにチラと後方に目をやった。
そこには激坂で足を付き止まっている男がいた。
「11:(旧)ブルブル日記」カテゴリの記事
- ブルブル日記を一時引っ越します。(2004.05.15)
- 3連荘の朝連(2004.05.14)
- 209億ドル(2004.05.12)
- バキバキ(2004.05.10)
- 朝ローラー(2004.05.10)
Comments